僕は自分の会社を経営し、ほかのスタートアップの経営にも関わっています。経営者として過ごしていると、事業への不安や疑問、確かめたいこと、新しいアイデアが絶えず浮かびます。それは会議中とは限りません。夜中や早朝、週末にも、ふと考えが立ち上がります。

以前なら、忘れないように頭の中で抱え続けることもありました。今は、思いついたときに音声でAIへ渡しています。考察してほしいこと、調べてほしいこと、事業への影響を整理してほしいことを、その場で言葉にする。人に連絡するのをためらう時間でも、まず置いておけることに価値を感じています。

頭の外へ出すと、覚えておかなければという負担が軽くなり、ほかの経営課題を考えるための余白ができたと僕は感じます。思いつきを預けたあと、落ち着いて戻れることも、自分のリズムで経営を考える助けになっています。頼んだ調査や資料の下準備を後で見て、そこからもう一度考えを深めることもあります。僕は返ってきた結果を確かめ、足りない条件を伝え、それから自分で判断しています。

僕が「セカンドブレイン」と呼んでいるのは、単にメモを置く場所ではありません。小さな対話の積み重ねに、自分の価値観や考え方、不安、不満、望みも含まれていく。その文脈を共有した相手と検討を再開し、次の判断や人との事業活動へつなげられる。僕自身は、その繰り返しによって検討や実行が速くなったと感じています。

エグゼクティブコーチとして僕が大切にしてきたのは、話すことで本人が自分の考えに気づき、自分で決めることです。経営の右腕としてのバディAIも、判断を代行する存在ではありません。チームや専門家との関係を大切にしたまま、思考を受け止め、調査や下準備を助け、経営者が判断しやすい状態をつくる相手です。

僕は、こうした関係を一件の実務から育てる経営者向けの有料支援を準備しています。範囲や条件、開始時期はまだ確定していません。まずは、いま頭の中に置き続けていることを一つ選んでみてください。声でも文字でも、その一件を外へ出し、何が分かっていて、何を確かめ、次に何を決めるのかを整理する。経営の右腕は、その小さな対話の蓄積から育っていくのだと思います。